048:藤村の間byフジイ隊長

コロナ禍の中、旅すること自体難しくなっちゃったね。GoToも微妙。これからどうなっていくのやら。
今月やっと4ヶ月ぶりに長野に行ってきます。長野には年に数回行くのです。
長野県。 信州。響きがたまらない。いつも仕事を一時間で済ませて古い宿を探すのです。寅さんの足跡を訪ねて信州を行くと、自然と島崎藤村に触れることになるのです。小諸なる古城のほとり雲白く遊子悲しむ
 寅 「遊子ってどういう人かわかるか」
 満 「おじさんみたいな人のことだろ」
「旅人」じゃなく「遊子」なんて素敵じゃないの。俺は「旅人」じゃなく旅すぎて「住所不定」って呼ばれてるけどさ。
そんな信州で2軒の「藤村の間」に泊まったことがある。 まずは信州小諸の中棚荘。千曲川旅情の歌を書いた「藤村の間」に泊まることができる。あちこち直してあるけれど一歩入ればもう文豪気分。
まだあげ初めし前髪の林檎のもとに見えしとき
林檎風呂に浸かって山の幸をつつき濁り酒を嗜む。誰か俺を遊子って呼んでー。しかし中棚荘は糠平の中村屋さんに似てるんだよな。なんか関係あるのかな。

そしてもう1件の「藤村の間」は今年3月お世話になった田沢温泉ますや旅館。文化財の宿。ここの空気はきっと藤村がいた時とおんなじだ。高楼からの眺望も、部屋の壁も、明治のころから変わらない。「旅情」ってこういうところで感じるんだわ。 かつて松坂慶子の卓球温泉の舞台にもなったこともあるんだね。 川の魚に馬肉に山菜。蝗の佃煮もおいしいよ。信州の宿にはやっぱし日本酒。 夜明け前に和田竜。信州のお酒は美味い。ますや旅館にはソムリエさんがいらっしゃってお酒を選んでくれるのです。だからワインもとっても豊富。 シャンベルタンにムートンに、ありゃりゃシャトーペトリュスもあるぞ。こんなギャップも楽しかったり。
さらっときれいな湯に浸かり、星空に霞む浅間の山影を見ていると、気分はもう藤村さ。
しかし、藤村の一番すごいのはなんてったって私生活。うーわーであります。
文豪ってなんかみんな不幸なんだよな。てなわけで皆さん、完全防護で密を避けて、旅に出ましょう。withコロナ。頑張ってまいりましょう。