●こんにちは。ちさといいます。映画とコスプレが大好きです💛
まずは自己紹介がわりに、初めて映画に触れたお話をしたいと思います。
幼い頃に行った祖父母の家でした。お泊りという事で特別に夜更かしを許されたちさは本を片手にソファに寝そべっていました。両親はテレビのチャンネルをがちゃがちゃと回しています。気持ち良くうとうとしていると、「いやぁーっ!!!」と、聞いたことが無いような悲鳴が聞こえてきました。はっと顔を上げると、画面の中では腰から下が無い男の人が床を這いずり、ショートカットのお姉さんが泣きながら、何かを叫んでいました。画面から流れるただならぬ空気に固唾を飲んだ瞬間、「いやぁねぇ」とあっさりチャンネルを変えられてしまいました。
次に憶えているのは自宅でのことです。祖母が見ていたテレビを何となく眺めていました。団地の一室で、女の人と背広のセールスマンが玄関で何やらもめています。激しい押し問答の末に女の人がドアを閉めると、サラリーマンが指を挟めてしまいます。そこから男の人の顔がみるみるうちに怖くなって、激しくドアを蹴り始めます。ドア一枚隔てた向こう側に満ちる悪意と、ガンガンとドアを蹴る大きな音に、どうしよう、どうしようと画面の中の女の人と一緒になって怯えていると、場面が変わりました。昼下がりの屋外です。先ほどの女の人は郵便受けを覗いています。少しほっとしながら見守っていると、郵便受けには丸まったティッシュが入っています。不安になるような効果音と共に、それを広げた瞬間に女の人はきゃぁっ!!悲鳴をあげ、つられて、ちさもびくっ!!っとした瞬間に、再びチャンネルは切り替えられてしまいました。
「気持ち悪いねぇ」と嫌な顔をしている祖母に、「続きを見たい!」とは言い出せず、
あのティッシュの中は、悪い物が入っているんだ、男の人の指が取れちゃって、それが入っているんだ!どうしよう!と1人でドキドキと考えてしまい、見てはいけないものを見てしまったという罪悪感と、不思議な高揚感でその夜は眠れませんでした。
ちなみに十年以上後に、祖父母の家で見たのは伊丹十三が製作総指揮、監督が黒沢清の「スゥイートホーム」、自宅で見たのは監督が高橋伴明、主演が高橋惠子の「DOOR」という映画だったと知り、レンタルDVDで無事に当時の恐怖と再会しました。特にDoorは素敵でした。高橋惠子のむせ返るような色気と、ストーカーと化したサラリーマンに、ねっちりと追い詰められる感じはたまりません。どきどきします💛(ティッシュの中身は指ではなく、殿方の体液でした)時々見返したくなるので、見たら感想をお伝えしたいと思います。
おこづかいをもらえる年になると、ビデオ屋さんでパッケージ裏を見て厳選した怖い映画を、家族が寝静まった頃にこっそりと居間のテレビで見るようになりました。家族には内緒なので、どんなに怖いシーンになっても声を上げられません。息をつめて見ている時の緊張感と、いけない物を見ている、という後ろめたさが病みつきになりました。
映画ではないのですが、和田慎二の漫画「スケバン刑事」の中に、危険に身を晒されると「あっ…💛」と恐怖と興奮でおもらしをしてしまう女の子が出てきます。古本で初めて見た時「この感覚、知ってる!」とちょっと嬉しかったのを覚えています。
前置きが長くなりましたが、最近「パラサイト~半地下の家族~」を見てきました。リメイク版の「ペットセメタリー」とどちらを見るか迷いましたが、つい最近ネット配信サービスで「コクソン」を見たばかりだったので、韓国のサスペンスの気分だったのです。
監督は「グエルム」「スノーピアサー」等のポン・ジュノです。ちなみにシム・ソンボとの共同脚本の「海にかかる霧」を見た時は、あまりにも凄惨な話に貧血を起こしてしまいました(でも好き💛)
ストーリーはこんな感じです
谷底にある町の、さらに半地下になっている所に住んでいる、貧困家庭の長男ギウが、山の手に住む裕福な家庭、パク家の家庭教師をする事になります。お嬢様である教え子と、無邪気で思慮の浅い奥様に取り入り、信頼を勝ち取ります。そして、情緒不安定な幼い息子のカウンセラーにと妹を紹介し、まんまと兄弟そろって高収入の仕事にありつきます。その後もパク家のお抱え運転手や家政婦をうまく追い出して、父親と母親もその座に収まり…と家族が少しずつその家に入り込み寄生していく…というお話です。
ずる賢く一家に取り入っていく主人公一家と、それに気付かない尊大で無邪気なセレブはどこか憎めません。何とかうまく上流階級の家族と馴染んでいく一家の様子はちょっと黒いコメディですが、中盤から徐々に様子が変っていきます(ある人物の秘密が明らかになると、一気にサスペンスになります。絶対に…絶対に知らない方が楽しめるから書けないけれど、誰かに言いたい!!)
「あの人たちのおかげ一家全員が就職できたんだ」「あの子(教え子)が大学に入ったら付き合おうと思っている、いい子だよ」と主人公一家は語りますし、パク家の主人も、心から信頼をしている様子です。ですがパク家の主人は「半地下の生活で染みついた臭い」に眉を顰めますし、キム家の父親はそれを察して悲しい顔をします。
パク家の人を利用しながらも「優しい人たち」と親愛の情を向けているのですが、ふと格差と無意識に露呈する差別を感じた時に、とても鋭い憎しみが見え隠れするようになります。そして、ある出来事がきっかけで、最後はその憎しみがどうしようもなくなり、取り返しがつかない事をしてしまい、憎しみがが激しい悔恨へと変わります。登場人物の誰もが嫌だけれど、憎み切れない。終わり方に少しの救いはあったけど、登場人物によっては相当理不尽な事をされていて……感情のおきどころに迷いながら、エンドロールを見ていたらどっぷりと疲れました。
帰り道、印象に残った場面を思い出していたら、だんだんと怖くなってきました。激しい感情や衝動は、のみこまれてしまいそうで怖いですね。でも青痣を押して痛みを確かめてみるように、また見たくなるんだろうな。
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