005: 四日連続寄席雑記其之三/神田連雀亭ワンコイン寄席

東京滞在四日目。最終日だ。もちろん今日も寄席に行く。
朝日新聞でコラムを連載していた時に担当してくれていた田中英也さんと御茶ノ水駅の前で11:00に待ち合わせしているので、お祭り気分を味わっていた湯島天満宮から急いで歩いていく。途中、「第8回ねこまつりat湯島」のポスターが。なんだろう、ねこまつりって。楽しそうだなぁ。
遅刻だぁ、と妹とふたりで慌てて走ったのに、英也さん、「11:30に開演する神田連雀亭のワンコイン寄席を三人で観たいので、11:30の待ち合わせを11:00に変更ね」というメールを読んでいなかったらしく、結局11:30近くに合流。もう始まっちゃうよーと早足で歩いたので、10分もかからずに神田連雀亭に着いたんだけど、当然もう始まっていた(涙)。

土曜日だし、遅刻したし、もうびっしりで入れないだろうなぁと思いながら、二階に上がって、受付係として入口に立っているデブくんに「途中からでも観たいんですけど」と言うと、キャパシティ38の座席にはまだ余裕があるので入れるけど、最初の演者(三遊亭円丈門下の二つ目、三遊亭ふう丈)が終わってからの入場になります、とのことなり。待ち時間、受付係のデブくんと、寄席と協会の力関係みたいな裏話をしながら過ごしてから中に入ると、ほほう。初めて来たけど連雀亭、なかなかいい空間でないの。桟敷席にびっしりと座る黒門亭(落語協会の二階)みたいなのを想像していたけど、大違い。ゆったりと座れる椅子席で、お尻に優しいふわっとした座布団が敷いてあるので座り心地は最高。昨日、ホール落語の二階席で哀しい思いをしたあとだけに、舞台との距離感も理想的で、思わず顔がにやけてしまったよ。土曜日だと言うのに客の入りは半分ちょっと。20人として、ひとり500円だから1万円から場所代を引いて3人で山分け・・・って、いくらもらえるんだろう。 これをきっかけに、自分の独演会に来てもらったり、お声が掛かるのを待つという寸法だろうね。
二列目の上手があいていたので、三人でそこに陣取ると、雀のマークがついた講釈台が運ばれてきた。舞台下の中央にも雀のマークが描かれているので、連雀になったぞ。可愛いなぁ。めくりが「こなぎ」となる。芸歴8年目の神田こなぎ(ちょっぴりデブちゃん)による講談だ。よかったぁ。慌てていたので演目や高座時間を失念しちゃったけど、物語の世界にスッと引き込む技量が感じられたよ。同じ言い回しが重複するのがひっかかったけど、好感がもてました。一龍斎貞鏡のような若くて目がパッチリ美人が注目されがちな講談の世界で、ちょっぴりデブちゃんで糸目の神田こなぎに大注目だぜ。
※写真は雀マークが可愛い講釈台を撮ろうとしたら、こなぎも映りこんでしまった一枚。

ワンコイン寄席のトリは木久扇門下、ということは彦いちの弟弟子にあたる二つ目の林家扇兵衛(26歳)だ・・・と、出てきた瞬間、U子と顔を見合わせて笑ってしまったさ。だって、さっきまで受付係をしていたデブくんなんだもん。いいなぁ。トリを務める二つ目も交代で受付をするシステムってのが、手作り感満載でいいでないの。連雀亭、気に入ってしまったよ。
 その扇兵衛くん、噺は噛み噛みだし、「噺家だけに枕はつきもの」的な枕ネタも見事にすべっていたけど、落語の修行よりも木久蔵ラーメンを売ることが大変で・・・みたいな木久扇ネタはテッパンだった。ぽっちゃり系の噺家は嫌いじゃないので、落語が上手くなるのは当たり前として、性格が悪くならない方も頑張ってね。

連雀亭を出たあとは筋向いにある神田やぶそばで小腹を満たして、やぶそばから徒歩30秒ほどの場所にある甘味処の竹むらでデザートをいただいてくつろいだのでした。以上、4日連続で寄席&ホール落語会に通って、白酒、菊之丞、喬太郎、正蔵、扇辰、百栄、馬るこ、こしら、萬橘、文菊、駒治なんぞの名演を堪能したよーという話でした。ぱちぱちぱちぱちーっ。