号外:黄金温泉の林さん夫婦からの「お別れの挨拶」なのです

みんな生きてる? おいらも、もがいているよ。
例年だと、この季節。黄金温泉が始まる季節なんだよね。特に今頃はいいよ。アンヌプリも羊蹄山も真っ白な雪化粧のままなのに、手前の木々は新緑色。そんなコントラストを炭酸ピチピチの一人用露天風呂につかりながら眺められるのだから、こんなに幸せなことはないんだけど、ほら、去年の10月に行った折、「来年はもうやらないかも。本当はあと何年かやりたかったんだけど、コロナだし、辞め時かなぁって」などと弱気なことを言っていたので、本当に辞めていたらどうしよう、と、ドキドキしながら向かったのです。
着くと、盛大に工事中。休業中の貼り紙を見るまでもなく、やってないぞよ。ガーン。ひょっとして、林さん夫婦のどちらかに不幸があったのでは・・・と、泣きそうになりながら林さんの自宅に顔を出したら、居たのよ、ふたりとも。とても元気そうに。まずはひと安心。
でも、話を聞いて、またまた泣きそうになっちまったよ。「温泉は正式に息子に譲ったから、もう無関係なんだよ。今、あちこち工事をしているみたいだけど、どこをどう工事して、いつ再開するのか、それとも、やらないのか、もうわからないのさ」だって。
20年前、林さんが裏山のトドマツを自分で切り出して、ほとんど自分ひとりで組み立てた黄金温泉なのに、正式に引退したので、もうノータッチなんですと。息子氏は温泉をニセコエリアのホテルに供給する事業に力を入れる風情だし、そもそも、本業の稲作が忙しいので、林さん夫婦のように自分たち夫婦で温泉を運営するなんてことはできそうもないので、仮に夏以降に再開したとしても、風情が一変することは免れないだろうね。入浴券の自動販売機と監視カメラに頼るような無機質で心を冷たくするような温泉に堕してほしくないと願うばかりなり。そもそも炭酸泉って、すべての温泉の中で一番向いてないんだけどなぁ、温泉の配達には。劣化しやすいから。ひとこと相談してほしかったなり。
元の蕎麦小屋で、林さん夫婦からみんなへのお別れのメッセージを録画してきたので、こちらをご覧くださいな。林さん、最後、泣きそうになっていたけど、ニコッて、笑ってくれたのです。