●北海道いい旅研究室で連載している『ひとり旅党宣言』の著者、工藤正樹といえば、自費出版という形で何冊も出版してきた中堅のインディーズ漫画家なんだけど、なんと、先月、青林工藝舎というメジャー出版社から単行本が発売されたのでありますよ。
●メジャーデビュー作のタイトルは『断罪』(青林工藝舎/2021年10月8日発売/税込み1430円)。何がいいって、線がいいんよ。モノカキにとって文体が命なように、工藤正樹は漫画家の命ともいえる自分の線を手に入れたので、画風に魅了されること間違いなしです。毒のある内容とおどろおどろしい画風が混然一体となって独自の世界を構築しているんだよなぁ。すごいなぁ。気づいてはいたけど、才能あったんだな、工藤正樹。本人からのご挨拶です。
●「いい旅読者の皆様、こんにちは。工藤正樹と申します。旅漫画とは別に怪奇漫画も描いておりまして、ついに人生初の単行本が完成いたしました。ユーモアな要素があったり、時事ネタを扱ったりとバラエティに富んだ内容になっております。売れるかどうか微妙な無名な漫画家の初単行本です。読んで頂けると最高に嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします!」
●ということなので、いい旅ホームページ内に開設しているweb書店〈いい旅書房〉で販売することにしました。なんと、先着10名様には特製の〈断罪缶バッチ〉をプレゼントしちゃいます。過去の自費出版本も取り扱っているので、のぞいてみてくださいな。あと、工藤正樹が編集している年刊誌『怪奇』の第6号も完成したので、200円ほどお得なセット販売も企画しました。さぁ、ホームページ内のweb書店〈いい旅書房〉をのぞいてみよう!!
●北海道いい旅研究室に「はいの晄」の筆名で『やいまぴとぅからの手紙』を連載している上江洲儀正といえば、日本最南端の出版社「南山舎」の代表として、今までも多くの出版物を自社から上梓してきたんだけど、『月刊やいま』の編集長を辞したのを機に執筆活動に専念した形のひとつとして、先月、東京の水曜社という出版社から、全国デビュー作ともいえる単行本を発売したのでありますよ。ぱちぱちぱちーっ。
●タイトルは『島を出る~ハンセン病回復者・宮良正吉の旅路』(水曜社/2021年10月26日発売/税込み2420円)。日本中でそうだったように、沖縄でもハンセン病は非科学的に誤解され、哀しすぎる歴史が患者たち、その家族、そして回復者までを苦しめてきたわけだけど、上江洲さんは当事者たちへのインタビューを重ね、資料を掘り起こし、ひとりのハンセン病患者の半生を中心に据えながらハンセン病の歴史と現実を淡々と綴っている。
●主役の宮良正吉さんはハンセン病にかからなかったら映画俳優になっていたのではないだろうかと思える二枚目だ。性格も明るい。その宮良正吉さんがハンセン病にかかった経緯が日本軍による八重山住民の強制排除だと知ったとき、この南の島の物語は我々の物語となってくる。沖縄人が「外国人」になった戦後は日本のハンセン病患者専用の高校に入るために、スパイ映画さながらの「脱走」をしたり、名前を変えて生きていかなければならないんだけど、そうした悲劇が、時にユーモアたっぷりに語られていることが余計胸を打つんだよなぁ。
●真面目な上江洲さんらしい、真面目な本です。いい旅書房では扱えないけど、amazonに注文するとか、近くの図書館にリクエストするとか、いろいろな方法で応援よろしくね。
あざらしからの
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