●多摩センターのパルテノン大通りの突き当りにあるパルテノン多摩が今月で閉館になるので、最後の落語会だったのです。と書いても、東京のみんなは「へーっ。ピューロランドが閉鎖されたのは知ってたけど、パルテノン多摩が閉館なのは知らなかったなぁ。フムフム。そういえばココリアって昔、大塚家具だったよね。え、その前は三越だったの?へー」って感じだろうけど、北海道のみんなはなんのことだかチンプンカンプンだろうね。おいらも思い入れゼロなので、閉館はどうでもいいんだけど、今回の落語会を少しでもいい席で観たい一心でパルテノン会員になっちゃったので、せっかくの会員証、二度と使う機会がないのかいなぁと少しだけ損した気分なり。
●さて、三つ巴落語会。まずは開口一番として上がった前座は三遊亭天どんの弟子の三遊亭ごはんつぶ。演目は前座らしく「子ほめ」(13分15秒)。好印象。自己紹介の時の間の取り方がよかったなぁ。
●続いて一番手として上がった真打は三遊亭兼好。亀和田武さん曰く「笑い仮面」だけど、白酒曰く「目が笑ってない」。東京かわら版の読者にとっては連載エッセイ「お二階へご案内」でもおなじみなり。で、結論から書くと、期待通り。いや、それ以上。枕のコロナネタとかゴーンから始まる夫婦ネタ、客が4人しかいなかった落語会の話、先代の圓楽師匠ネタでどっかんどっかんと笑わせてからの宮戸川は下げの改変が小粋で上出来だったなぁ。枕15分42秒+噺14分51秒=30分33秒。
●続いてはお目当ての桃月庵白酒で演目は「百川」。うひっ、という百兵衛の間抜けな返事と二枚目声の対比が絶品なんだよなぁ。枕はやはりコロナネタが中心。枕8分4秒+噺23分36秒=31分40秒
●中入り(13分40秒)で白酒師匠に楽屋挨拶にいく。亀和田武さんと妹と三人でパルテノン多摩の親切なスタッフに楽屋まで案内してもらうと、だらしない後ろ姿の中年男性が前を歩いていた。すぐにわかったよ。喬太郎師匠が到着して楽屋入りしたところだ。おいらと同じ歳なんだけどなぁ・・・。白酒師匠と短い会話を交わして、持参したスージー・クアトロのCDをプレゼントする。8年ぶりにリリースした55周年記念アルバムだ。白酒師匠はプログレを中心にロック全般が大好きなので、差し入れは往年のロックアーティストのニューアルバムでここのところ落ち着いている。「これ、スタジオ録音?」なんてことを気にする辺りが元ロック少年っぽいでしょ。
●中入り後に登場したのは上口龍生というオールバックで和装の浪曲マジシャン。「無名で有名」らしい。さきほど白酒師匠に楽屋挨拶に行った折に廊下ですれ違ったけど、礼儀正しい好青年だったぞよ。三味線美女を従えての贅沢な演目なり。声量不足で三味線に負けていたけどね。亀和田武さんが「こんなの初めてみたよ」と驚いていた。17分8秒。
●最後に登場したのはさきほど楽屋入りした柳家喬太郎。一緒に見に行った元朝日新聞の英也さんは「なんだかんだ言っても一番は喬太郎だよね」と言うし、亀和田武さんも現時点のベスト3を挙げるとしたら絶対に入ると絶賛するけど、おいらはちょっと苦手だ。目が笑ってないのは兼好よりも喬太郎でしょう。演目は「品川心中」。もちろん途中まで。枕はコロナとパルテノンが改修閉館という皆と同じネタだけど、これが無難。「最後と言われても全く思い入れがない」「復活したらまたやりますと言って復活したためしはない」などと言っては笑いをとっていた白酒と違って「復活の折にはまた足を運んでいただけたらと思います」などと死ぬほどつまらない無難なことを言っていた。笑いの少ない枕は時間も短くて5分4秒。兼好の3分の1だぞ。噺は笑いなしの半ばで切って23分28秒。合計28分32秒。喬太郎ファンの妹も「がっかりしたぁ」とつぶやく不完全燃焼な終わり方でありやしたが、立川から多摩センターに向かうモノレールもめちゃめちゃ楽しかったし(富士山も大きく見えた!!)、そのあと亀和田武さんの地元、国立駅周辺で、亀和田武さんの行きつけの店をハシゴできたので、トータルでは楽しい落語会でした。〈パルテノン会員なので3200円。前から4列目にて拝聴〉
あざらしからの
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