026:むつごろうラーメンを知ってるかい?

なんとも芸のないオミヤゲだなぁ、と最初は思ったんよ。九州旅行をしてきた知り合いからのオミヤゲはインスタントラーメンがひとつだけ。しかも、小じゃれた袋に入れたりしないで裸でポンと手渡されたのだよ。見ると「有明海むつごろうラーメン」と書かれている。「むつごろうのダシと深みとコク!!」とも書いてあるけど、たかがインスタントラーメンだ。まるみその方が美味いに決まってるよ、と、北海道人ならではの思考回路でしばらく放っておいた。
※まるみそはまるちゃんの味噌味のことね。北海道人にとってはサッポロ一番でも明星チャルメラでも日清でもなくて、東洋水産のまるちゃんラーメンがソールフードなのだよ。
唯一の救いは袋に描かれているムツゴロウのイラストが可愛いことだ。ラーメンどんぶりに入って麺をすすっている。つまり、自分の体でダシをとりつつ麺をすすっている。シュールだ。でも可愛い。しばらく飾っておこう。と思っていたけど、膵炎による「ラーメン禁止令」から1年と3カ月。その間、勝手に何回か解禁しちゃったけど、ほら、旅に出ると付き合いとかあるからね、でも、さすがに自宅で食べるラーメンは我慢していた。想像してほしい。一日一麺、毎日ランチは麺類を作って食べると決めて生きてきた56歳が、この1年と3カ月、ラーメンもパスタも焼きそばも作らずに過ごしてきたのであるよ。ふと見ると、自分の体をラーメンどんぶりに沈めて、美味そうに麺をすすっているムツゴロウ。気が付くと、おいら、「むつごろうラーメン」を作っていたのでした。
インスタントラーメンを凝った食べ方で食べるのは趣味に合わないので、恵山の焼きばらノリと卵と白ゴマだけを具として入れて、袋に書いてある通りに450mlの水をユキヒラに入れて3分で茹で上げ、まるみそ以上の期待をしないで、宇宙大作戦を見ながら食べたら、美味いのなんのって。久しぶりのインスタントラーメンということを差し引いても、この美味さはただごとじゃないぞ。と思って、ふと、袋の片隅を読むと「創業明治23年の魚問屋、夜明茶屋が有明海で獲れた新鮮なムツゴロウから作ったムツゴロウダシを贅沢に使った特製スープの深みとコクをご賞味ください」と書いてあるでないの。老舗の味だったのね。納得。
ああ、美味かったなぁ。また食べたいなぁ。ネットでも買えるかな。と、とりあえずamazonで検索したら、ぎょえーっ。5個で3680円、1個あたり736円って、なんだ、この値段!! まるみそと同じレベルかと思っていたら、超高級品でないの。4個入り1616円ってのも見つけたけど、これだって1個400円以上している・・・。ちゃちなオミヤゲだと思ったことを悔いるよ。ごめんよ。ということで、本人に「めちゃめちゃ旨かったよ。高いものありがとう」と伝えたら、「高くなかったよ。1個250円ぐらいだったよ」ですと。ふむふむ。それはちょうどいい価格だぞ。250円だったら、絶対に損したと思わない味だからね。というわけで、福岡あたりに旅に行く人は近所のスーパーをのぞいてみて、「有明海むつごろうラーメン」が売っていたら絶対に買うべし。ついでに、あざらしの分も1個頼むぜ。にゃはは。ああっ、フリースタイルの近刊がめちゃめちゃ面白いという話も書くつもりだったけど、むつごろうラーメンの話で力尽きてしまったよ。次回必ず書くのでしばし待たれ。