003: 四日連続寄席雑記其之二/新ニッポンの話芸[成城ホール]2019.01.17thu

東京二日目の夜は下北沢でフリースタイル吉田保と妹のU子とブックカフェ巡りをしたあと、妹と成城学園前に移動して、駅前のカフェで亀和田武さんと合流。三人で成城ホールへと向かった。ヘビメタ雑誌BURRN!編集長の広瀬和生さんがプロデュースしている「新ニッポンの話芸」が開催されるからだ(寄席じゃないけど、寄席的なイベントなのでタイトルに偽りなしということで・・・)。
出演は志らくの弟子で、奥山侊伸さんの弟分でもあるので旭川で会ったことがある立川こしら(43歳)と、去年の第3回かっぱ寄席に出てくれた鈴々舎馬るこ(38歳)、圓橘の弟子の三遊亭萬橘(39歳)の三人。おいらはふたりも知り合いがいるし、亀和田さん広瀬さんと親しいので、「じゃあ、行こうか」となった次第。
 偶然にも今回が成城ホールでの最後の会だったので、見といてよかったぁ。
 チケットは前売り2500円で、席はF列つまり6列目の22番。真ん中より前の上座側という理想の席でした。
開演前、ロビーで、馬るこ師匠と妹弟子の雛菊亭ちづる改め鈴々舎美馬ちゃんがCDや馬るこ餅を売っていたので挨拶をする。おいらと亀和田さん美馬ちゃんにデレデレだったので妹のU子に「ふたりとも鼻の下がのびてるよー」と怒られる。
19:00開演。トップバッターは立川こしら「壺算」。枕9分38秒+本編26分59秒=計36分37秒。
 枕は「二度と成城ホールで落語をしない(かも)」という男気あふれかけている話とか、光文社新書から出た人生初の自分の本の価値を上げるために企んでいることの話など。導入部で芝浜を取り入れたり(笑)、下げに「新たな謎の計算」を加えることで、今回はアレンジに無理がなくて気持ちよく最後まで楽しめました。お見事。
二番手は鈴々舎馬るこ「糖質制限初天神」。枕11分46秒+本編18分08秒=計29分54秒。
 枕は新商品の馬るこ餅の話。あれも入れよう、これも入れようと欲張ったら焼印がつぶれてしまってなんだかよくわからなくなってしまったこととか、無添加にしたら味はうまいけど、あっという間に在庫にカビが生えたはなしなど。寄席の初席で90歳の金馬師匠のあとに上がった話や木久蔵兄さんの話などの楽屋話も笑ってしまった。
 こしらの「壺算」が「オプション追加古典改作」もしくは「マイナーチェンジ古典改作」だとしたら、馬るこの「初天神」は「フルモデルチェンジ古典改作」だ。何しろ、ダダをこねるのが子供じゃなくて、糖質制限&小遣い制限中の父親という設定なのだからフルモデルチェンジでしょ。逆に子供はしっかり者の女の子なんよ。笑ったなぁ。設定がドキュメンタリーの強みに大爆笑してしまったよ。かっぱ寄席の出演者として、白酒彦いちの次に馬るこを選んだおいらの目に狂いはなかったと確信した次第。
仲入りをはさんで、しんがりは三遊亭萬橘「藪入り」。枕10分1秒+本編33分25秒=計43分26秒。
 枕は「成城ホールでやるのはこれが最後だということを自分だけ聞いてなかった」という話とか、「荻窪の教会で落語をしたけどいつも道に迷ってしまってたどりつけなかった」話など、(亀和田さんは実際にその落語を観に行ったので、本当に迷ったよって笑っていた)。萬橘は一昨年、池袋演芸場の主任で観た時も肩に力が入り過ぎていてひどかったけど、今回もトリだったせいか、なんか違ったなぁ。下げの「中吉」は笑っちゃったけどね。やはり萬橘はトリじゃなくて、トリのちょっと前の方が味が出る気がするなぁ。
最後は広瀬和生さんを交えてのアフタートーク&抽選会&餅まき(21分52秒)ってのがいいなぁ。アフタートークは4人並んだんだけど萬橘師匠はほとんど話さず。こしらがやる気全開だったのが微笑ましかった。
 抽選会の景品は新ニッポンの話芸手ぬぐい、こしら本、寄せ書きと破魔矢のセットなど。「馬るこ餅」は手分けして70個まいたけど、あざらしたち3人は1個もゲットできなかったので、終演後買いに行ったら売り切れていた。食べたかったよぉ。
 そういえば、抽選会の時に判明したんだけど、「あの、たたずまいのいい前座さんは誰の弟子だろう」と思って見ていた着物姿の若者は、なんとこしらの弟子だったさ。そんなこともあってか、アフタートークで張り切っていたのかな、こしら師匠
終演後、楽屋で広瀬和生さんと名刺交換。元講談社でホットドックプレスの編集長なんかをして、今は指定管理で成城ホールの委託運営を3月まで任されている野際恒寿さんともご挨拶をした。その昔、おいらもホットドッグプレスの編集部に出入りしていたことがあるので、「部下に山田五郎がいてさぁ」なんて話を懐かしい気持ちで拝聴したよ。
ちなみに、成城ホールではこのあと、3月6日(水)の19:00から、桃月庵白酒林家彦いち松元ヒロという鹿児島県出身の三人が共演する「さつまもん立ったり座ったりの夕べ5」が開催されるんだね。めちゃめちゃ面白そうだなぁ。なんといっても、第1回かっぱ寄席のゲスト(白酒師匠)と、第2回かっぱ寄席のゲスト(彦いち師匠)だからね。亀和田武さんは何回か見に行っていて、松元ヒロの左翼トークにぶったまげたみたいです。
新ニッポンの話芸は4月25日(木)19時、内幸町ホールに会場を移して新シリーズとして再スタートするとのことです。おいらは行けないので、行ける人、おいらのかわりに行ってきてね。
成城ホールの外に出ると21:30。亀和田武さんが、「軽く腹ごしらえしようか。スパゲティが美味しい店があるんだよ」ということで、小田急で下北沢に移動して、サニーデイ・サービス曽我部恵一が経営する「CITY COUNTRY CITY」でノンアルコールビールで乾杯する。おいらが膵炎でアルコール禁止中なので、二人が付き合ってくれた形。明太子のスパゲティはイマイチだったけど、DJブースの兄さんが、こちらの年代にあわせて、ドゥービー・ブラザーズをかけてくれたのがうれしかったなぁ。三人で乾杯したオールフリーが逆にほろ苦かったのでした。