037:火山と温泉の話(その3)・・・byスーさん

こんにちは、スーさんです。前回の続き火山と温泉の話になりますが、今回は弟子屈町『川湯温泉』について、少し掘り下げて紹介します。少しの時間だけお付き合いください。
前回もお話ししましたが、脱衣所に貼ってある温泉分析表に限って言えば、川湯温泉は北海道で一番酸っぱい温泉です(学術的な分析データでは、知床のカムイワッカが一番だと思います)。その酸性の強さは、五寸釘(鉄)が1週間で溶けるレベルで、銀製品はたちまち真っ黒になり、コンクリートも徐々に腐食します。そのような性状ですから、循環濾過では利用出来ませんので、利用は源泉掛け流しオンリー。酸性に強い木が多用されているのも特徴的です(昔は木製の樋で温泉を流していたらしいです)。そんな温泉に人間が入っても大丈夫っていうのが不思議ですけど・・・。
さて、そんな川湯温泉は、どうやって出来ているのでしょう?難しい話をしても仕方が無いので簡単に説明します。
①アトサヌプリの下から火山ガスの成分を含んだ熱水が上昇してくる
②熱水は上昇によって減圧されて地下で沸騰を始め、蒸気と温泉に分離する
③蒸気は軽いので割れ目を伝わってアトサヌプリの噴気孔から湧出する
④温泉は重たいので地面の下を自然の勾配(アトサヌプリ→川湯温泉)で流れ、水頭と標高の差が無くなった箇所で自然湧出する(アトサヌプリよりも遠くなるほど、地下水等で希釈されるため温度や成分が低い傾向がある)
このモデルを提唱したのは、北海道大学の福富先生と浦上先生で、その元となる調査は1960年代後半(今から50年以上前)と古いものです。しかし、その時点で既に川湯温泉とアトサヌプリの水蒸気の起源が一緒であることを推論していました。すごいですね。
北海道いい旅研究室17(最新号)の7頁で紹介されていた『川湯パーク』は私の定宿でした。平成10年に川湯の町外れでボーリング調査(1000m掘削)をした時、半年くらいお世話になったのをきっかけに、それから20年以上、年数回のペースで道東に出張があるときは、必ず泊めてもらっていました。オーナーの小泉さん夫妻の人柄に惹かれて泊まり続けていただけに閉館の話は少し残念ではありましたが、新たなスタートにもつながる話なので、これからも応援し続けていきたいと思っています。長い間お疲れ様でした、この場を借りてお礼申し上げます。

歴史を感じさせる看板

フロントにて、小泉さん夫妻

お世話になった人達から贈られたたくさんの花

次回は火山と温泉のテーマから少し離れますが、弟子屈町つながりで町内の温泉について、それぞれの成因などを中心に話をしたいと思います。