038:温泉の香り・・・byシンリン

こんにちは。ムーミン好きのシンリンです。
温泉に行くとき、その匂いに注目したことはありますか。温泉の匂い、と聞いて真っ先に思いつくのは硫黄臭ですよね。この匂いが漂ってくると「あー、温泉に来たぁー」という感覚が一気に高まります。同じ硫黄の匂いでも微妙な違いがあるのですが、こればかりは言葉で説明するのが難しく、実際に体感しないとわかりづらいのが残念なところです。
道内で硫黄臭と言えば、代表的なものでは登別と川湯が思いつきますが、わたしが「温泉のありか」を匂い探知できた唯一の温泉が、島牧村の奥にある(今もあるのかしら)通称「黄金湯」とか「金花湯」などと呼ばれている野天湯でした。島牧村の宮内温泉のさらに山奥の荒れた林道を何度も道に迷いながらガタゴト進むとけっこう急な流れの川に出て、流れに足を取られそうになりながら何とか渡り切ると、どこからともなくプゥ~ンと硫黄の香りが漂ってきます。ヤブの中をゴソゴソ歩き回りながらその匂いのあたりを探ると、地面からお湯が湧き出ている場所が見つかり、そのお湯が流れる先を歩いていくと湯だまりを発見した!というものです。この湯だまりは以前にここに来た誰かが地面を掘って作ってくれたものと思われますが、あまりに多い湯の花の堆積で、だいぶ浅くなっていました。クマさん登場で一巻の終わり、というロケーションでしたが、適温で最高に気持ちが良かったのを覚えています。上がった時は全身湯の花まみれになりましたが。今でも道路がつながっているのかどうかは不明ですが、もう一度行ってみたい温泉です。このあたりでは狩場山、大平山などの登山も楽しめますし、大平山ではハードな山歩きを克服した先に、可憐なエーデルワイス(オオヒラウスユキソウ)の花を楽しむこともできます。
次に意外とマニアが多い油臭温泉です。わたしも例にもれず大の油臭温泉好きでして、日本国中アチコチ油臭温泉めがけて旅をしますが、やはり代表格はなんといっても地元北海道の豊富温泉でしょうね。「ふれあいセンター」の湯治用浴場のお湯で、というより脱衣場の近くで既に油臭がプンプンし、ワクワク感MAXになります。ここは皮膚疾患にも効能が高いと評判で、それこそ日本国中から療養のためにたくさんの人が湯治に訪れていて、彼らのバックアップ体制も充実しています。「油臭」といっても、文字で説明するのは難しく、体感していただくしかないのがもどかしいのですが、灯油のようなガソリンのような、そんな感じの匂いです。ぜひ、虜になる人は虜になる油臭たっぷりの豊富温泉ふれあいセンターの湯治用のお湯に浸かってください。ただ、本当に成分が濃いので、湯上りの身体を拭いたタオルは黄色くなりますし、服にもばっちりニオイが付きますので、高級なお召し物は着ないで行きましょう。また、本気で療養に来ている人が多いので、浴室で騒いだりふざけたりしてはいけません。道内では銀婚湯の露天風呂(大浴場併設)もほんのり油臭がしますが、本当にほんのりなので、注意深く匂いをかいでみてください。道外では有名どころでいうと、青森のあすなろ温泉、栃木の喜連川温泉(早乙女温泉)、富山の民宿あおまさ、長野の百合居温泉などが特徴的な油臭の温泉であり、どこも素晴らしい匂いです。もちろん、ほかにもたくさんありますよ。
ツーンとくる温泉。最後に、これまた特徴的な、ツーンとくる匂いの温泉をご紹介します。わたしが体験した道内にあるこの種の温泉と言えば天塩温泉です。国道沿いの道の駅のそばにある「夕映」という施設が天塩温泉です。見た目は黒いお湯ですが、浴室に入った瞬間、消毒薬というか、トイレというか、アンモニアのようなツーンとする匂い(「臭い」と書くべきか)がしてちょっと驚くと思います。もちろん常連さんたちは何事もない顔で入っていますが。天塩温泉には露天風呂も付いており、開放感も楽しめます。もちろん施設は大変清潔であり、トイレ掃除を怠っているとか、そういう不衛生なものでは決してありませんのでご安心ください。
また、天塩温泉から稚内に延びる道道106号線は左手に利尻島(水平線)、右手にサロベツ原野の大草原(地平線)を楽しみながら走れる道内屈指の観光道路ですので、この道路からちょっとだけそれて行ける豊富温泉にも寄ってどこまでもまっすぐな道路を走れば爽快感倍増です。ぜひ晴れた日にこれらの特徴的な匂いの温泉に浸かって、そのまま稚内を目指して爽快な気分を味わいながらドライブしましょう。