033:2018年4月の東北旅日記3日目~昭和にタイムスリップ!!byひなこ(40歳)

携帯のアラームで5時に起床です。今回の旅で1番の早起きです。なぜかと言うと、昨日管理人のおばあちゃんに「泊まりの人は、銭湯の方も無料で入れるよ~」と教えてもらっていたからです。軽く身支度をして、朝の5時からやっている銭湯の一番風呂へ突撃……と思ったら、3人ほど先客がいました。広い脱衣場は中央に大きな木の長椅子があり、すぐ側に籠が15個ほど重ねて置いてあります。古い演歌が結構な音量で流れており、浴室のドアのすぐ前には畳敷きのベビーベッドのようなものがありました。昭和です。昭和にタイムスリップした気分です。
服を脱いでいると、サウナからさらに4人、おばあちゃんがぞろぞろと出てきました。みなさん朝が早いです。長方形の真ん中で仕切られた大きな湯舟が真ん中にドーンと置いてあり、中央の仕切りからはお湯が流れ、それを端に設置された機械で循環させています。手前にはサウナに続くらしいドアと、奥には手作りの打たせ湯がありました。大きな湯舟と、ザバザバとお湯が流れる音がなかなかの迫力でした。お湯は別館と一緒の温泉ですが別館の少し薄暗い浴室のこじんまりとした浴槽と違い、銭湯の大きな窓から惜しげもなくはいってくる外の光に照らされたお湯は全然違う印象です。
洗い場では2組のおばあちゃんがお互いの背中を流しています。それを眺めながら、お湯の中で体をぐーっと気持ちよく伸ばしました。活気があっていい所だぁ。

お風呂から上がり、昨日同様シジミの潮汁を作り朝ごはんです。一昨日スーパーに行ったついでに大湊フランセという上北町で多分唯一の洋菓子屋で購入したタヌキケーキも食べました。カップケーキにバタークリームでタヌキの顔のような形を作り、チョコレートでコーティングしたお菓子です。懐かしい感じがとても好きです。少しだけ布団でウトウトして、身支度を整えて出発です。管理人さんに挨拶をして、銭湯の受付で結局使わなかった…というか掛からなかった鍵を返してお会計です。素泊まり2泊で5000円でした。
まずは目的地のすもも沢温泉まで徒歩で移動します。Googleマップで見ると歩いて1時間ちょっとくらいの距離。なるほど、車ですぐだよという事だったのね。とスーツケースをガラガラ引いて歩き出しました。今日も外は寒いけれど雨は降っていません。昨日の雨の名残のミミズが地面に沢山いるのを避けながらひたすら歩きます。歩いているのはわたしだけで、あとは車ばかりでした。川に沿うようにして桜の木が沢山あるのが見えました。一ヶ月後に来ていたら桜を見ながらのお散歩になったんだなぁ。30分程歩くとローソンが。今回の旅行で初めてのコンビニです。お茶を買ってさらにずんずん進むとビニールハウスがいくつも見えてきました。目当てのすもも沢温泉です。到着~!となった所で、「昨日の人ですよね!」と止めてあった車から出てきたのは昨日の青年です。「歩きだったんですね!実はここ、うちなんですよ~」なんと彼はすもも沢温泉の人でした。お父さんが温泉ですっぽんの養殖をしていて、そのすっぽんの配送に行く所だったとか。そういえば東北すっぽんファームという看板があります。昨日の和幸のメニューにすっぽん鍋があったなぁ。「看板犬のポン太は、すっぽんのポンですよ」「夕方頃は仕事帰りに入りに来る人たちで混むときがあるけれど、今の時間は空いてますよ~」などと教えてくれ、青年は配送に出かけました。

見渡すと、すっぽんがいるらしきビニールハウスのすぐそばに池があり、その中州にはなぜか鶏が数匹歩き回っていて、ポン太の小屋があります(撫でようとしたら沢山吠えられました)。プレハブの家族風呂があり、普通の浴場が建っています。建物の横には牛乳用の巨大なタンクがありました。
家族風呂も気になりつつ、普通のお風呂へ向かいます。建物に入ると小さなソファがあり、奥に監視カメラが付いた無人の受付があります。200円の代金を受付に置いてある箱に入れて女湯へ。コンクリートの床に、小さな浴槽が二つ並んで埋め込まれています。薄茶色のお湯が浴槽から流れ出し、床には常にたっぷりとお湯がざあざあ流れています。軽く体を流し湯舟にはいると、気持ちいい!温度も熱すぎず、ぬるすぎず、柔らかい肌触りが心地よいです。誰もいなかったので試しに浴槽の傍の床に寝転んでみると、絶えず流れてくる浴槽からのお湯がいい感じです。床に寝そべったり浴槽に入ったり、脱衣所の畳半畳程の扇風機が置いてあるスペースで休んだり、途中で入って来た常連さんのおばちゃんとお話をしていると、1時間ちょっとがあっという間に過ぎました。
冷え切っていた体も、歩き過ぎて痛くなった足もすっかり温まりました。従業員か常連らしきおじいちゃんと「そんな大きい荷物持ってどこ行くの!駅ぃ!?軽トラだけど送っていくかい?」「寄り道するので、歩いていきます~」「桜みるにはまだ早いよ~」などと話しつつも出発です。
てくてくと上北町に向かって歩き出します。ここに来る途中でお昼ご飯の目星は付けていました。ローソンのすぐ近くに、八甲温泉という古びた温泉銭湯と八甲ドライブインというこれまた古びたドライブインがあったのです。駐車場にやトラクターや車が結構ありましたが、広々とした店内にお客は私ひとりでした。どうやら車は温泉の方のお客さんみたいです。店員はおばあちゃん2人で「寒いでしょ!ストーブの側に座んなさい」とストーブを点けてくれました。調理場の横に、紙に書かれた年季の入ったお品書きが並んでいます。せっかくの青森なのでバラ焼き定食800円を注文。玉ねぎと牛バラ肉を甘辛く炒めたものと、優しい味の温かい煮物がついていました。八甲温泉もとっても気になりましたが、最終日はゆっくり姉戸川温泉に浸かると決めていたので先を急ぎます。

上北町に着き13時4分の汽車に乗ったらひと駅で小川原駅。そのすぐ側の姉戸川温泉に着いたのが13時10分頃でした。奥でテレビを見ながらずっと電話で談笑をしているおばさんにお金を払い、お風呂へ。寝湯の部分に寝そべり、浴槽のヘリに頬を付けて目を閉じます。 ざばざばと浴槽にお湯が流れる音や、壊れたカランからお湯が勢いよく流れる音がします。時々目を開けると浴槽から流れ落ちるお湯がきらめいて綺麗です。昨日と今日で沢山歩いて疲れたせいかと、今日朝早く起きたせいか、ふわふわと眠くなりそのまましばらくうとうとしてしまいました。
出たり入ったり、寝転んだり首までお湯につかったりを繰り返し、温泉を存分に堪能して、小川原駅を再び出発したのが15時37分。 青い森鉄道で八戸まで行って、駅に直結しているユートリーという施設でお土産と夕食を購入。その後に八戸線の汽車に乗り、フェリーターミナル行きのバスが出ている本八戸へ向かいます。
バスが来るまではまだまだ時間があるので、駅の売店前にある休憩スペースで夕食に鯖寿司を食べました。焼いたものと生の鯖と半分ずつ入っています。焼いた鯖は身も皮も柔らかく、あのウグイの飯寿司は美味しかったなぁと思い出しました。
20時45分発のバスでフェリーターミナルへ行き、八戸港を22時に出港し、苫小牧に着いたのが朝の6時。フェリーを入れたら4泊5日の旅は終わりです。次回は恐山が開山している時に行きたいな、とか今度はすもも沢温泉と八甲温泉をはしごしようとか、姉戸川温泉と和幸にはまた絶対行きたい!とつらつら考えながらバスに揺られて札幌に帰りました。楽しかったです!