009:知床より近い!?別府温泉にはまっている話byシンリン

いい旅スタッフの一人、シンリンでございます。
 いい旅読者のみなさま同様、私も大の温泉好きであります。
 中でも、ここ数年ハマっているのが大分県の別府温泉です。
大分県は「おんせん県」を標榜するだけあって温泉だらけで、特に別府市は日常生活に溶け込んでいる温泉の密集具合がハンパありません。病院や喫茶店、お寺などで自前の温泉を持っているところがあるのはもちろん、一般家庭や共同住宅で源泉を引いているところもたくさんあります。
ご好意で何軒か一般家庭の温泉にお邪魔したことがあるのですが、どの家もコックをひねるとあっという間に大量の源泉で湯舟が満たされるので、実にうらやましく思いました。ただ、自宅に温泉をひいていると、税金がかかったり、メンテナンスが大変だったりと、それなりの苦労はあるようですけどね。
いわゆる共同浴場も120か所以上あります。しかも、大多数の共同浴場は100円程度の入浴料で入れるのです。
浴室は脱衣場直結で、小判型の浴槽が真ん中にあって、そこに激熱の源泉と水が注がれているというタイプが多くて、4~5人で満員なサイズ感です。湯量は調節自由ですが、調子に乗って大量に入れると熱湯風呂となり、とても入ることはできません。
入浴客は浴槽の周りに座って、洗面器で浴槽からお湯をくみ上げ、身体や頭を洗います(ほとんどの共同浴場はシャワーやカランもなく、シャンプーなどの備付もありません)。
これらの共同浴場は路地裏にひっそりとたたずんでいるものも多く、見つけるのに非常に苦労するかもしれませんが、それもまた楽しいものです。
別府温泉は「別府温泉」「観海寺温泉」「堀田温泉」「鉄輪(かんなわ)温泉」「明礬温泉」「亀川温泉」「浜脇温泉」「紫石温泉」と8つのエリアに分かれていて、別府八湯と呼ばれています。この中と一部エリア外にある144か所(変動有り)の温泉施設が参加して、平成8年から通年で、別府八湯温泉道というスタンプラリーが開催されています。
各参加施設に設置してあるスタンプ(ゴム印)を、スパポートというスタンプ帳に、だぶらないよう88か所分押すと1冊完成です。スタンプ数に応じて「初段から七段」までの段位認定があり、七段の認定を受けると無料入浴券などがもらえ、すべて完成させて認定を受けると「温泉名人」の認定が受けられるというものなのですが、これが実に楽しくてドはまりしてしまい、別府に何度も行くようになってしまいました。
「温泉道」という名のとおり、スタンプを集めるため一日に何か所もの温泉入浴はある意味修行のようでもあり、完全な自己満足の世界で、ハタから見ればアホに思われることもありますし、身体的にも相当疲れるのですが、温泉好きとしてはこんなにたくさんの温泉に何度も漬かれる【浸かれる】こと自体がこの上ない喜びで、ほとんど中毒のようになってしまいました。
ちなみに、1冊88個のスタンプ帳を11冊完成、つまり温泉名人を11回達成すると「永世名人」としての認定を受けられます(既に100人以上が達成しています)。1冊完成させるだけでは到底物足りないので、現在わたしもこの永世名人を目指して修行に励んでいるところです(これも自己満足以外の何物でもありませんが)。
ですので、九州方面に遊びに行く機会がありましたら、ぜひ別府にも足を延ばして、無数にある温泉を片端から試してみてください。別府は冷麺やとり天も美味しいですよ。また、毎年4月1日からの数日間、「温泉まつり」が開かれ、市内の88か所の温泉が無料開放されるという嬉しいイベントもあります。
最近はLCCも就航し、新千歳空港から福岡空港まで時期を選べば片道6000円台で直行できます。愛媛や大阪からフェリーで来る人もたくさんいます。福岡空港から別府までは高速バスだと2時間で行けますし、格安レンタカーもあります(北海道からだと乗継になりますが大分空港が一番便利なのは言うまでもありません)。
以前、函館からウトロまで、高速道路を使っても車で10時間以上かかり、途中、帯広付近で気絶しそうになりました。一方、新千歳空港から福岡空港までは3時間かかりません。そう考えると九州といえども身構えるほどの「遠い場所」ではなくて、もっと気軽に行けそうな気がしませんか?