053:火山と温泉の話(その4)byスーさん

こんにちは、スーさんです。前回のコラムから1年近く経った気がしますが、皆さんお元気でしたでしょうか?
さて、前回予告しましたように、これからは弟子屈町管内にある温泉について、その特徴や成因について紹介します。少しの時間だけお付き合いください。
下の図に屈斜路湖と周辺の温泉の位置関係を示しました。ご存じの方も多いと思いますが、屈斜路湖は日本最大のカルデラ湖です。現在の屈斜路湖は空豆のような形をしていますが、初期の屈斜路湖は現在の倍ほどの面積があり、ほぼ円形の湖だったと考えられています(図の点線の範囲:東西約26km、南北約20km)。このカルデラは約40万年前からの火山活動に伴って形成されました。その後、約4万年前からの最終活動の時期に中島やアトサヌプリを出現させ、カルデラ湖の南東部が消失したと考えられています。屈斜路湖畔周辺の温泉は、全てカルデラの中に位置することから、この地区の温泉の熱源は、これらの火山活動に起因していると考えられます。
湖畔の東側にある、コタン、池の湯、砂湯、仁伏の各温泉は、湖畔付近に自然湧出しています。温泉の井戸を掘ると、湖畔側より山側の方が温度も高く、成分量も濃いことから、山側で形成された温泉が湖畔の方に流れ、その間に地下水などで希釈されていると考えられています。泉質はコタンと仁伏が1000mg/1kg以下の単純泉、砂湯と池の湯が1500mg/1kg前後の重曹泉となっていて、それぞれの組成比が似ていることから温泉の起源が一緒ではないかと考えられています。

屈斜路湖と温泉地の位置関係(国土地理院の電子地形図に温泉地を加筆して掲載)

池の湯露天風呂(冬には白鳥と混浴できるかもしれません)