003:フェーニシの風byトニー

最高気温が氷点下の札幌に居ながらにして、毎夜、沖縄の風を感じることができる店。それが狸小路5丁目、三条美松ビル地下の「ちゅらうたや」だ。いい旅17でおなじみ、石垣島のきいやま商店をはじめ、宮古島の下地勇、沖縄のターシ☆などなど多くの愛すべきミュージシャンたちがライブをするってのも嬉しいんだけど、そういう特別な日ではない普通の日に、毎夜、店主のトニーが厨房仕事の合間にやってくれるライブがたまらなくいいのだよ。
トニーは若く見えるけど、昭和39年生まれ。あざらしと同世代だ。かっちゃんがボーカルをしていた伝説のバンド、コンディショングリーンのギタリスト、シンキの弟!!という音楽DNAを持つ生粋のウチナンチュ。なんだけど、北海道の女性に恋をして、気が付いたら北海道で「毎日ライブをする沖縄料理屋さん」の店主になっていたのだね。素敵な人生さ。
それにしても、毎晩だよ、毎晩。そこいらのどんなミュージシャンよりも場数を踏んでいるわけで、ギターと三線を交互に持ちながらのライブはちゃらい若者がリクエストするビギンとか海の声よーとかはいさいおじさんみたいな、もうそういうリクエストは勘弁してくれよーと叫びたくなる沖縄初心者ソングから、月ぬかいしゃみたいな本格的民謡、そしてトニーがブルースアレンジした沖縄POPSや、今ではトニーのオリジナルではないかと思えてしまうベイビベイビベイビースティウイズミー♪までバラエティに富んでいるんだけど、おいらが一番好きなのは、トニーのオリジナルだ。
その一曲、フェーニシの風をなんとなく撮影したので、見てみてね。ざわつくホンキートンクの中で、ちょっぴり苦笑いしながらも、決して手を抜くことなく唄い上げるトニーが気に入ったら、次はちゅらうたやに足を運んで、「あざらしのともだちです」と言って、おいらの大好きなバンシルオリオンを一杯飲んでみておくれ。