035:ベストカフェ2~白木哲朗ブックでボツになった原稿

カフェ巡りはキライだよ。とあちこちカフェが新しくできるのを見たり、本屋やコンビニの雑誌コーナーでカフェ巡りの本を見る度にそう思っていた。大体どうして休みの日にコーヒーや紅茶を飲む店を探しに行くんだ? 他にすることはないのか? ヒマ人がするペラペラな趣味だな、とケーベツしていた。そういう人はホットケーキのことを忘れてパンケーキと出会い、スパゲッティーのこともパスタと呼んでいるに違いない、という決め付けもあった。
つまり、カフェというものが、ぼくの「目の前の生活で精一杯!ヘルプミー!」というところに入り込む余地もなければ、共に行く友人や女の子というものもいなかったからなんだな、とやさぐれ気味に思う。
ある日、農作業をしている時、カフェの話になった。その時ぼくは言った。カフェを探すよりも缶ビールを持って座りやすそうな倒木を探すほうが楽しい!と。 我が美瑛町には人口の割には多くのカフェがあると思う。みんな普段は小汚い格好をしているくせに、あそこに新しいカフェができたとかパン屋ができたとか言ってはたまの休みにめかしこんで行っていることをぼくは知っている。その上でぼくはそう言ったのである。
そんなやさぐれた気分で川のほとりを歩いていた時に見つけた「倒木カフェ」こそが、ぼくのベストカフェなのです。